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臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集 VIII.血液化学検査
107.SaO2
著者: 長尾光修1 岡安大仁2
所属機関: 1日大・第1内科 2日大・内科
ページ範囲:P.1878 - P.1879
文献購入ページに移動血液中に存在する酸素には,Hb(ヘモグロビン)に結合した結合酸素と,血漿に溶解した溶解酸素の2種類がある.溶解酸素量はPO2(酸素分圧)に比例して上昇し,PO21mmHgの上昇で溶解酸素量は0.003ml/dlの増加となる.PaO2100mmHgの健常者でも,その量は,0.3ml/dlとわずかである.一方,Hb結合酸素については,通常1gのHbに最大で1.34ml(*1.39ml)の酸素が結合し,Hb15g/dlの健常者で約20mlの結合酸素を有することになる.Hbと酸素の結合度は酸素分圧によって決まるが,その関係は溶解酸素と異なり,特殊なS字状を呈し,これを酸素解離曲線という(図1).
図の縦軸には結合酸素量(Hb15g/dlとした場合)とSaO2を,横軸に酸素分圧を示している.この縦軸の結合酸素量とSaO2の関係から知れるように,SaO2とは全血(Hb15g/dlとする)を37℃,水蒸気で飽和された空気(PO2≒150mmHg)に接触させたとき(HbがすべてO2と結合できる条件)のHb結合酸素量(酸素容量)に対する,実際に動脈血中に存在するHb結合酸素量を百分率であらわした数値であり,Hbの何%が酸素と結合しているかを示す指標である.PaO2とSaO2との間には酸素解離曲線を介して相互に変換できるので,両者は同様の意味をもつといえる.近年呼吸不全の診断ならびに酸素療法の指標としてPaO2が使用されているが,PaO2の高,低を知ることは即血液中の酸素含量が多いか少ないかを考えているのであり,この意味からSaO2は重要な指標である.そのほか心迫出量は現在Thermodilution法があるが,Fick法による計算にはSaO2を必要とする.
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