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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻11号

1979年10月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集 XI.腎機能検査

143.PAHクリアランス

著者: 東條静夫1 稲毛博実1

所属機関: 1筑波大臨床医学系内科

ページ範囲:P.1968 - P.1969

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 PAH(パラアミノ馬尿酸ソーダ)の腎における排泄態度はDiodrastと同様で,定量が容易,正常血清や尿でblankがきわめて小,ヒト赤血球中に入らない,蛋白結合が僅少,無毒,市販試薬が安定などの理由で今日広く用いられている.静脈内に投与されたPAHは腎糸球体で限外濾過後近位尿細管で排泄がつけ加えられ,低血漿濃度(PPAH0.5〜3.0mg/dl)では最終尿中に排泄される量の約15%が糸球体由来で,残りが尿細管で排泄される.PAHの抽出比extraction ratio(腎動脈血中濃度から腎静脈血中濃度を差し引いて腎動脈血中濃度で割った値)は大で,低濃度では腎機能組織の1回循環でほぼ100%除去されるため,そのクリアランスの算出にあたっては腎静脈血中の濃度を無視でき,CPAHは腎機能組織を還流する血漿流量(RPF)を表す.実際の全腎での除去率は約90%であるが,これは腎被膜や支持組織,脂肪組織,腎髄質など排泄機能に関与しない部分の血流が10%程度あるためで,その意味ではCPAHを正確には有効腎血漿流量(Effective RPF)と呼ぶこともある、病腎では器質的障害の程度に応じてこの機能に関与しない組織が増大し,CPAH200ml/min以下では徐々に除去率が低下するが,この場合でもCPAHをもって臨床的なRPFとして支障はない.臨床的に問題となる除去率の低下は次の異常値の項で述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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