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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻11号

1979年10月発行

文献概要

〈付録〉臨床検査領域における新しい動向

3.臨床検査の正常値とその考え方

著者: 林康之1

所属機関: 1順大臨床病理

ページ範囲:P.2030 - P.2031

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正常値の作り方
 臨床検査各項目の正常値は,いわゆる健康人の測定値を求め,その平均値±2倍の標準偏差として表されている.いわゆる健康人と述べたのは,健康人を定義しようにも,厳密なことをいいだすと混乱するだけで健康人はいなくなってしまうからである.では,従来,そんないい加減なことで大切な正常値を作ってきたのかと反論されるかもしれないが,そのとおりなのである.最初の頃といっても30年以上前であるが,新しい検査法を臨床に導入するに当たって,正常値を求あるという作業はきわめて簡単に身近な人たちを数例〜10人ほどから検体を集め,その測定値をそのまま健康人正常値としている.ところが,それではあまりにも無責任ではないかということで,集団を対象にして,せめて性別,年齢別に,そして,ある程度健康人としてのスクリーニングを行って決定するように変わってきたものである.それで,現在行われている正常値の作り方は,まず対象例を可能なかぎり検査を実施して異常者を選別除外し,残った対象を健康人とする.そして,その健康人測定値にさらに統計的処理を加えたものを正常値とする作り方である.この場合,性別,年齢別に対象を集めて現在利用されている正常値表ができあがることになるが,測定方法別に多少の偏差があるので,検査施設によって正常値が違うことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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