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今月の主題 血管炎とその臨床 血管炎を伴う諸疾患
側頭動脈炎とpolymyalgia rheumatica
著者: 亀山正邦1
所属機関: 1京大老年科
ページ範囲:P.2066 - P.2067
文献購入ページに移動側頭血管の動脈炎として,1934年に,Hortonら1)は2例の報告を行っている.第1例は50歳女性で,子宮筋腫,高血圧,輸尿管結石などで入院をくり返しているうちに朝方の頭痛が出現している.血圧は195〜250/100〜130mmHg,Hb 72%,RBC 489万,BUN 25mg/dl.側頭動脈にそって有痛性の結節を触れる.食思不振,体重減少がある.体温は36.6〜39.4℃,髄液正常.尿中結核菌陰性.左側頭動脈を生検.この例は後に自宅で死亡し,剖検は行われていない.第2例は68歳男性で,頭蓋部の疹痛と全身衰弱を主訴としている.病初に歯の周囲の痛み,顎のこわばりがあった.1週後に痛みは前頭部に広がり,その部に熱感を伴った.体重減少,微熱,Hb 12.1g/dl,RBC 373万.浅側頭動脈にそって発赤と疼痛があり,その部を生検した.
これら2例の生検所見は慢性の動脈周囲炎および動脈炎である.限局性の肉芽組織が血管外膜にある.外膜の栄養血管周囲には円形細胞浸潤があり,中膜にも細胞浸潤がみられる.内膜は著明に肥厚し,細胞浸潤の程度は部位によって異なっている.血栓で完全に閉塞しているところもある.既往歴,経過および病理所見から,結節性動脈炎や閉塞性血栓性血管炎とはみなされず,新しい疾患と考えたい,と述べている.この疾患の原因としてactinomycesを考えているが,それは誤りであった.
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