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図譜・消化器病の超音波診断 他検査法との対比による症例の検討
肝悪性腫瘍の超音波診断—病理肉眼所見との対比による超音波像の検討
著者: 大藤正雄1 野口武英1 木村邦夫1 高橋法昭1 土屋幸浩1 五月女直樹1 木村道雄1 江原正明1 税所宏光1 大野孝則1 庵原昭一1
所属機関: 1千葉第1内科 2千葉第1外科
ページ範囲:P.2154 - P.2159
文献購入ページに移動超音波検査法は実時間映像を可能とする電子スキャンの開発により著しい進歩がみられており,非侵襲性でしかも簡便,確実な手段として広く消化器疾患の診断に応用されるようになってきている.肝腫瘍の診断においても腫瘍の微細な性状だけでなく,肝表面の性状や血管の変化などもあらわすことによって病態をさらに精しく把握することができる.従来のコンタクト・スキャンでは困難とされた肝細胞癌と転移癌の鑑別も多くの例で可能である.識別可能な腫傷の穴きさについては1cm大の腫瘍が容易に検出されているのであるが,1cm以下の場合,周囲組織の音響学的性状との関連で必ずしも容易ではなく,転移性肝癌の剖検あるいは開腹所見との対比により見逃されていることが少なくない.
超音波検査法による肝腫瘍の診断能については現在のところなおretrospectiveな検討にとどまっているけれども,筆者らは肝細胞癌では全例に異常所見を認めている.実際の検査にあたって,被検者が高度の肥満体であったり,腹部手術後で腸管癒着などの特殊な状態にあったりしなければ良好な映像を得ることができる.
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