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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻13号

1979年12月発行

今月の主題 消化管ホルモンの基礎と臨床

トピックス

Entero-insular axis

著者: 大根田昭1

所属機関: 1東北大第3内科

ページ範囲:P.2240 - P.2241

文献概要

はじめに
 Entero-insular axisとは,消化管ホルモンが膵ラ島の分泌調節に関与している機構として近年提案されたものである.しかし,このような考えは古くから示されている.すなわち,1903年にセクレチンが発見されると間もなく,Mooreらはブタ十二指腸壁より得た抽出物を3人の糖尿病患者に投与して,血糖を下降させることを試みた.残念なことにその実験は不成功に終わった.しかし,このような考えはその後も続き,十二指腸のの抽出物の中で糖代謝に関与している物質はincretinと呼ばれ,酸を十二指腸内に投与してセクレチンまたはincretinの分泌を刺激することによって,血糖の変動を観察した実験が多数報告された.その結果は必ずしも一定の結論を得ず,暫くの間,この問題に関する研究は途絶えたかにみえたが,近年に至り再び脚光を浴びてきた.
 すなわち,1958年にBastenieらは静注したブドウ糖の体内における消失速度を検討し,ブドウ糖を静注する前に経口的にブドウ糖を投与すると,糖の消失率は大きいことを発表した.1964年,Dupreは投与したブドウ糖の血中よりの消失をみる際に,その前に静脈内にブドウ糖を投与するよりも,経口的にブドウ糖を投与するか,ブドウ糖の静脈内投与とセクレチン注射を併用すると糖の消失が速やかであることを認め,消化管ホルモンがインスリンの分泌に影響を及ぼしていることを報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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