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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻13号

1979年12月発行

今月の主題 消化管ホルモンの基礎と臨床

トピックス

消化管ホルモンのtrophic action

著者: 杉山貢1

所属機関: 1横浜市大第2外科

ページ範囲:P.2242 - P.2245

文献概要

概念
 近年,各消化管ホルモンの抽出・合成やラジオイムノアッセイの開発により,消化管の分泌と運動の調節機構における消化管ホルモンの役割が明らかにされつつある,しかし,消化管組織に対するホルモンのtrophicactionや母児相関についての研究は未だ少ない.
 初めてこのtrophic actionについて話題になったのは,幽門洞切除(幽切)と迷走神経切断術(迷切)後での残胃粘膜の組織学的変化が指摘され,この変化が術後の消化管ホルモンの変動によるものと思われるようになったことによる.LeesとGrandjeanらは,幽切後の残胃粘膜の生検で23人中22人に進行した粘膜の萎縮像がみられたと報告し,またMelroseらは,迷切後長期間(1〜10年)経過しても胃粘膜の萎縮を認めなかったという.一方では,56例の十二指腸潰瘍症のうち幽切後での萎縮性胃炎の検出頻度は70.4%と術前の18.5%に比べて明らかに多く,しかも壁細胞領域の粘膜の厚さも薄くなっていたという.他方,これとはまったく逆のことは難治性潰瘍・胃酸分泌充進・非β細胞性膵腫瘍を主徴とするZollinger-Ellison症候群にみられる,すなわち,高ガストリン血症に伴う胃および十二指腸粘膜のhypoplasiaと壁細胞数の増加である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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