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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻2号

1979年02月発行

文献概要

今月の主題 パーキンソン病とその周辺 パーキンソン病治療上の諸問題

L-dopa長期治療の問題点—up and down現象とon and off現象

著者: 荒木淑郎1

所属機関: 1宮崎医大第3内科

ページ範囲:P.221 - P.223

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はじめに
 パーキンソン病のL-dopa療法は,線条体におけるdopamine欠乏を補充するもので根治療法ではないことは周知のとおりである.したがって,L-dopa療法中でも,脳内の病変は徐々に進行する,L-dopa療法中,症状が比較的安定しているときは,L-dopaの腸管からの吸収速度,脳内への移行量,脳内での代謝過程,および脳内のdopamine欠乏状態は,比較的安定していると考えられる.しかし長期療法中には,L-dopaの濃度と,L-dopaに対する個体の必要量は,厳密にいえば,必ずしも恒常性を保っているのではなく,時間の推移とともに症状に多少の変動が起こることが推測される.事実最近になって,L.dopa療法中,1日のうちで症状の動揺(up and down現象)や,急激に症状の悪化と好転があるという現象(on and off現象)が起こることが注目され,その発現機序への考察から治療に至るまで広く検討が加えられている.
 パーキンソン病長期療法中のこの奇妙な現象については,すでにカナダ,米国をはじめ,わが国でも検討され,とくにわが国では,安藤1)らのすぐれた綜説がある.本稿は,これらの現象をとりあげ,一般医師のために,できるだけ平易に解説するのが目的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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