文献詳細
文献概要
今月の主題 肺機能検査の実際 肺機能検査で何がわかるか
換気・血流比不均等分布
著者: 川城丈夫1 佐藤勝1
所属機関: 1慶大内科
ページ範囲:P.516 - P.517
文献購入ページに移動いまここに吸入気および混合静脈血ガス組成が一定に維持されている恒常状態下にある肺内のガス交換スペースの一つをとり上げて考えてみる.そこのガス分圧はそこを換気する換気量のみによって決まるものではない.またそこを灌流している血流量のみによって決定されるものでもない.その両者の比,すなわち換気量と血流量の比(VA/Q)によってそのガス交換スペースのガス分圧は決定され,そのスペースでガス交換を終え,そこを去る血液のガス分圧はそのスペースのガス分圧に等しい.
実際の肺の有するガス交換スペースは単一なものではなく,肺は数多くのガス交換スペースよりなりたっている.これらのガス交換スペースのVAQは空気呼吸をしているヒトではおおむね0.8〜1.0を中心に分布し,正常恒常状態下にある場合でも,ある程度の不均一性をもつものである.このように,個々の肺内のガス交換スペースのVA/Qが不均等性を有する分布をしていることをVA/Q不均等分布と呼んでいる.この不均等性は病的肺においてはさらに著明となる.
掲載誌情報