文献詳細
文献概要
今月の主題 肺機能検査の実際 肺機能検査のapplication
慢性肺気腫
著者: 福地義之助1 原沢道美1
所属機関: 1東大老人科
ページ範囲:P.535 - P.537
文献購入ページに移動肺気腫は形態学的に定義された疾患である.現在広く受け入れられているのは,"終末細気管支より末梢の気腔の大きさが正常範囲を越えて増大し,かつその壁が破壊されて変化している抹態"という定義であり,WHOやアメリカ胸部疾患学会により採用されている.近年,選択的肺胞気管支造影法が導入されて,生存中に形態学的変化を相当に正確に推定しえるようになりつつあるものの,肺機能検査法が肺気腫の診断や経過観察に最も重要なものであることに変わりはない.
臨床的にみて,肺気腫と慢性気管支炎の鑑別は心ずしも容易ではなく,両者をまとめて慢性閉塞性肺疾患と呼ぶことも少なくない.既に述べられたさまざまな肺機能検査を組み合わせて判定することは,この両者の鑑別をすすめる一助ともなり,両者の肺機能の特徴を対比することができる.ここでは,肺気腫の診断,経過観察,予後判定などにおける肺機能検査の応用について簡単にまとめるとともに,肺気腫の早期診断に関連して末梢気道機能検査についてもふれることにする.
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