medicina16巻4号

1979年04月発行

演習・放射線診断学 シンチグラム読影のコツ・10

膵シンチグラム

著者： 彌富晃一¹ 鈴木謙三¹ 盛山眞行² 木下文雄³

所属機関： ¹都立駒込病院放射線科 ²都立広尾病院内科 ³都立大久保病院放射線科

ページ範囲：P.580 - P.587

はじめに
　膵癌は消化器の癌の中で，最も死亡率の高いものの一つです．それにもかかわらず，胃癌，肺癌のように早期診断，早期治療がなかなかむずかしく，診断法の進歩が待たれています．
　膵臓癌の診断が遅くなる理由の一つに，自覚症状が一定でないことがあげられます．食欲不振，腹痛または背部痛，黄疸，原因不明のやせなどがありますが，いずれも特異的なものでなく，このため他の病気と誤診して，いたずらに検査，加療を受け，時間を空費することが多いためです．