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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻4号

1979年04月発行

文献概要

臨床医のための心の科学

自律訓練法

著者: 佐々木雄二1

所属機関: 1駒沢大文学部

ページ範囲:P.618 - P.619

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はじめに
 自律訓練法は,中性的催眠状態(neutral hypnotic state)に含まれている疲労回復・健康保持機能を,より効果的に治療に利用しようとして作られた心理生理的治療法である.自律訓練法は一種の自己催眠法ともいえるが,従来のそれが催眠状態における被暗示性の亢進を利用して,治療暗示をかけることに重点がおかれていたのに対し,この方法は催眠状態そのもの(hypnosis per se)を得ることが重視される.また自律訓練法は,多くの人が段階的に習得できるように体系化されているところと生理学的側面が重視されている点で,従来の自己催眠法とは異なる.
 自律訓練法の基本的な治療メカニズムは,生理学的には,求心性インパルスの減少による中枢神経系の興奮の鎮静にあり,また心理学的には,精神的態度を受動的にすることによって過敏性を軽減するところにある.自律訓練法はこのように心身活動の基盤にはたらきかけ,心身全般をエネルギー消費体制(エルゴトローピック状態:ergotropic state)からエネルギー蓄積体制(トロフォトローピック状態:trophotropic state)へ,つまり活動型から休息型へと変換するので,ストレッサーに対する過敏状態,不安,緊張,自律神経系の過興奮などが関与している心身症や神経症の非特異的治療法として用いられることが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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