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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻5号

1979年05月発行

文献概要

今月の主題 胃癌とその周辺 胃癌の発生母地

腸上皮化生と胃癌

著者: 中村恭一12 加藤洋2

所属機関: 1筑波大病理学 2癌研究所病理

ページ範囲:P.656 - P.659

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胃粘膜の腸上皮化生発生とその形態
 胃粘膜は組織学的に口側から十二指腸側に向かって噴門腺粘膜,胃底腺粘膜,幽門腺粘膜から成り立っている(図1).これら3種類の粘膜は胃に固有な粘膜であり,この胃固有粘膜には腸上皮化生が生じる.腸上皮化生intestinal metaplasiaとは,胃固有粘膜が腸の上皮によって置き換えられることである.
 腸上皮化生は,まずはじめに幽門腺粘膜に,なかでもその小彎側に発生する.また,胃底腺粘膜と幽門腺粘膜(噴門腺粘膜)の境界近傍の幽門腺粘膜(噴門腺粘膜)に生ずることもあるが,胃底腺粘膜領域から始まることはほとんどない.そして,腸上皮化生は胃固有粘膜全域に及び,胃固有粘膜は減少してゆく.この胃粘膜の腸上皮による置き換えを経時的にみると,図2に示すように,腸上皮化生のない胃底腺粘膜領域を限界づける線(境界線)を指標とずるならば,境界線は経時的に腸上皮化生によって胃体部大彎側の方向に移動し,その胃底腺粘膜領域は不可逆的に収縮してゆくということができる.つまり,年齢が増加するにつれて腸上皮化生の程度は著しくなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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