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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻5号

1979年05月発行

文献概要

今月の主題 胃癌とその周辺 胃癌とまぎらわしい疾患

胃悪性リンパ腫

著者: 上野恒太郎1

所属機関: 1山形大第2内科

ページ範囲:P.694 - P.695

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はじめに
 胃癌に対する胃肉腫の頻度はおおよそ0.7〜1.7%で,悪性リンパ腫はその約2/3を占めている.残りの大部分は胃平滑筋肉腫で,腫瘍は正常の胃粘膜でおおわれ,広基底性で,bridging foldsを伴うなどの粘膜下腫瘤の形態を呈し,腫瘤頂上部には深い中心壊死性潰瘍を伴うことが多いが,腫瘍侵襲が病巣表面粘膜に及んで腫瘤が崩れたり広汎なびらんを形成しない限り,胃癌との鑑別はあまり問題にならない.
 悪性リンパ腫とは,リンパ網内系の細胞の腫瘍性増殖による疾患であり,このなかにはHodgkin病,リンパ肉腫および細網肉腫などが含まれており,欧米ではリンパ肉腫が多いのに対し,わが国では細網肉腫が70〜80%と多い.この理由として,リンパ肉腫と細網肉腫の病型の内外における病理学的扱い方のちがいが考えられているが,両者は鑑別がむずかしい上に,臨床症状も類似しているところから,臨床的にはHodgkin病と非Hodgkinリンパ腫に2大別して扱われることが多い.悪性リンパ腫は発育が早く,転移しやすい悪性腫瘍であり,病像も胃癌と似ているので,診断は慎重に行う必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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