medicina16巻5号

1979年05月発行

医師の眼・患者の眼

ゼク盗り物語

著者： 松岡健平¹

所属機関： ¹東京都済生会中央病院内科

ページ範囲：P.800 - P.802

承諾なしですませた？
　鼻筋の通った血色のよい顔色がみるみるうちに石膏のアグリッパのように真白くなり，やがて蒼白になった，ギリシャ人医師，アレキサンダー・アリストテレス・ザヒィロポロス（通称プロス）の英語はますます上ずった調子になった．病理科から「剖検が終了した」という電話を受けている．
　「Oh！God，そのケースはまだ剖検の許可を得ていなかったんだ．どうして許可もないのにAutopsyをしたんだ」