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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻6号

1979年06月発行

今月の主題 血栓とその臨床

血栓成立のメカニズム

血流と血栓

著者: 磯貝行秀1

所属機関: 1慈恵医大第3内科

ページ範囲:P.822 - P.824

文献概要

血流と血栓形成の問題点
 生体内の血管の種類,部位および形状(分岐,彎曲,狭窄など)によって,血流速度,血管径,圧力勾配,血液粘度,ずり速度およびReynolds数など血液レオロジー的パラメーターはそれぞれ相違しており,一様ではない.同様に,血液の流れも,たとえば動脈では血球成分のうち,赤血球は血管の中心軸に集合する傾向(軸集中化現象)を示し,血小板は血管壁近傍を高い濃度で流れているといった分布の不均一性が認められている.しかしながら,このような状況下でも血栓形成の部位あるいは血管病変の発現区分は比較的規則性が認められているので,血流のバイオメカニクスの関与がかなりの重みをもっており,最近大きい関心をひいている.
 血液の流れが緩徐〜停滞すると血管内凝固を誘発しやすいが,一方,流れの比較的速い部位でも血栓が形成される.前者の血栓生成は静脈でみられ,後者は動脈で認められており,血管内膜の損傷,血小板機能および凝固・線溶能の相互作用が成因的に大きく寄与している.また,微小循環系の血栓性閉塞病変の成り立ちには,血液粘度,赤血球集合(sludging)および赤血球変形能などが重要となる.いずれにしても,最近の凝血学の進歩をin vivoの血栓形成の動態にいかにあてはめてゆくか,換言すれば血栓に対する血液レオロジー(血液と血管に関する流動と変形の科学)的アプローチと凝血学的研究の協調との有機的連携をいかに計るかが非常に重要となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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