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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻6号

1979年06月発行

今月の主題 血栓とその臨床

血栓好発状態

悪性腫瘍

著者: 漆崎一朗1 新津洋司郎1

所属機関: 1札幌医大癌研内科

ページ範囲:P.829 - P.831

文献概要

はじめに
 1865年Trousseau1)が悪性腫瘍患者のrecurrentmigratory thrombophlebitisについて初めて記載して以来,悪性腫瘍に血栓症がしばしば合併することは諸家の注目するところとなり,その原因として担癌生体における過凝固状態なる概念が明らかにされてきた.すなわち担癌生体では,血液組成がきわめて凝固しやすい特性を有していると考えられる.このような状態ではわずかなrisk factorが加わることにより,多発性血栓が形成されやすく,いわゆるDIC(disseminated intravascularcoagulation)がひき起こされる.また腫瘍細胞自身が血管内に侵入して形成する血栓症や,腫瘍の発育,遊離,着床,転移などの現象においても凝固線溶系のかかわりあいは強く,その正確な把握は悪性腫瘍の予後や治療の上で重要な問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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