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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻6号

1979年06月発行

今月の主題 血栓とその臨床

血栓の治療

ウロキナーゼ

著者: 松田保1

所属機関: 1東京都老人総合研究所臨床第2生理研究室

ページ範囲:P.872 - P.873

文献概要

ウロキナーゼの特徴
 ウロキナーゼは,本邦において開発された薬剤であり,血漿または血栓中に存在するプラスミノゲンを分解してプラスミンに転化し,血栓を溶解する.この目的には以前よりβ溶連菌の濾液より精製されたストレプトキナーゼが欧米で広く用いられてきた.ストレプトキナーゼは,まずプラスミノゲンと複合体を形成し,次いで,この物質がプラスミノゲンをプラスミンに転化すると考えられているが,溶連菌感染の既往により,血中に種種の量の抗体が存在し,その効果が一定でないこと,アレルギー反応を生ずる可能性があること,大量に投与するとむしろ血液の線溶活性が低下すること,純度の高い製品を用いても副作用としての発熱がしばしばみられること,などの欠点がある.これに対し,ウロキナーゼは人尿より精製するため比較的高価であり,また大量に使用する場合の供給の点にも多少の問題はあるが,抗原性がなく,発熱の副作用もないなどの長所があって,欧米でもストレプトキナーゼにとって代わりつつある.また,最近,ヒト胎児の腎組織の培養によるウロキナーゼの抽出も行われ,供給の点でも福音となり得るかも知れない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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