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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻6号

1979年06月発行

文献概要

天地人

モルモットの貞操帯

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.963 - P.963

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 もう随分前になるが,ベルギーのある博物館に陳列してあった貞操帯というのを見たことがある.それは昔,十字軍の騎士が遠征のため家を留守にするときに,奥方に貞操を強いる目的で使ったものであると注釈されてあった.鉄板で出来ていて排泄行為に必要な部分のみが切りとってあって,今では整形外科で用いるコルセットと同じようなものである.女性にとっては,これほど残酷で,侮辱的なことはなかっただろうと同情させられる.それでも賢い女性の"あらぬ行為"を防ぐことができなかったというから,十字軍騎士にとっては苦痛な遠征であったに違いない.文明の進んだ現代まで,男性至上主義者が探し求めている完全な貞操帯は開発されていないといってよいだろう.むしろ貞操帯そのものの必要性さえ想像できない世代になっている.
 ところが,動物の中には自然の完全な貞操帯をもっているものがある.モルモットがその一例である.モルモットはげっ歯類に属しているが,おとなしく動作がにぶく,実験動物として重宝されていることはご承知の通りである.野生のモルモットは1年に1度,それも1度に2匹程度しか子供を生まないという.繁殖能力--同類のラットやマウスに比して--が悪いわけではない.現に飼育されているモルモットは年に3回以上も妊娠するし,子供の数にしても20匹以上にも及ぶ.モルモットのメスは夜中に発情するものだから野生ではのろまのオスが目的を達しにくいのだろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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