文献詳細
今月の主題 癌と免疫
癌抗原の検出
文献概要
はじめに
アストロプロテイン(森,19701~3),以下Apと略す)は前項までに述べられたAFP(α-fetoprotein),CEA(carcinoembryonic antigen),BFP(basic fetoprotein)などのような胎児性蛋白でもなければ,癌関連抗原の範疇にも属さない脳特異蛋白の一つである.つまり,Apは成人,胎児を問わず,脳神経組織の主要な構成成分であるグリア(正確にいえばアストログリア)にのみその存在が認められている唯一の蛋白抗原である.
このApがどうして「癌と免疫」に登場するかというと,Apは脳腫瘍のなかで最も大きな比率を占めるグリオーマの組織中に多量に含まれ,しかもグリオーマ患者の髄液にApのかなりの量が漏出していることがわかったからである4).つまり,Apは脳腫瘍に特異的な抗原物質ではないが,グリオーマのようにグリアの増殖があって,しかも脳実質に破壊的な病変があると髄液中に漏出するので,これをRIA(radioimmunoassay)によって微量定量することにより,逆に脳内での病的変化を推進することが可能となる.
アストロプロテイン(森,19701~3),以下Apと略す)は前項までに述べられたAFP(α-fetoprotein),CEA(carcinoembryonic antigen),BFP(basic fetoprotein)などのような胎児性蛋白でもなければ,癌関連抗原の範疇にも属さない脳特異蛋白の一つである.つまり,Apは成人,胎児を問わず,脳神経組織の主要な構成成分であるグリア(正確にいえばアストログリア)にのみその存在が認められている唯一の蛋白抗原である.
このApがどうして「癌と免疫」に登場するかというと,Apは脳腫瘍のなかで最も大きな比率を占めるグリオーマの組織中に多量に含まれ,しかもグリオーマ患者の髄液にApのかなりの量が漏出していることがわかったからである4).つまり,Apは脳腫瘍に特異的な抗原物質ではないが,グリオーマのようにグリアの増殖があって,しかも脳実質に破壊的な病変があると髄液中に漏出するので,これをRIA(radioimmunoassay)によって微量定量することにより,逆に脳内での病的変化を推進することが可能となる.
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