icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina16巻7号

1979年07月発行

今月の主題 癌と免疫

癌抗原の検出

アストロプロテイン

著者: 森武貞1 生塩之敬2

所属機関: 1阪大・第2外科 2阪大・脳神経外科

ページ範囲:P.992 - P.994

文献概要

はじめに
 アストロプロテイン(森,19701~3),以下Apと略す)は前項までに述べられたAFP(α-fetoprotein),CEA(carcinoembryonic antigen),BFP(basic fetoprotein)などのような胎児性蛋白でもなければ,癌関連抗原の範疇にも属さない脳特異蛋白の一つである.つまり,Apは成人,胎児を問わず,脳神経組織の主要な構成成分であるグリア(正確にいえばアストログリア)にのみその存在が認められている唯一の蛋白抗原である.
 このApがどうして「癌と免疫」に登場するかというと,Apは脳腫瘍のなかで最も大きな比率を占めるグリオーマの組織中に多量に含まれ,しかもグリオーマ患者の髄液にApのかなりの量が漏出していることがわかったからである4).つまり,Apは脳腫瘍に特異的な抗原物質ではないが,グリオーマのようにグリアの増殖があって,しかも脳実質に破壊的な病変があると髄液中に漏出するので,これをRIA(radioimmunoassay)によって微量定量することにより,逆に脳内での病的変化を推進することが可能となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら