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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻7号

1979年07月発行

文献概要

今月の主題 癌と免疫 免疫強化剤による治療

レバミゾール

著者: 折田薫三1

所属機関: 1岡山大第1外科

ページ範囲:P.1023 - P.1025

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レバミゾールの構造と作用機序
 Levamisole(LMS)は他の多くの免疫賦活剤と異なり,図1のごとき構造式をもった化学薬品で,分子量240.75の白色結晶状粉末である.水に易溶性で,酸性で安定である.経口で急速に消化管より吸収され,全身の組織に分布する.成人に常用量の150mgを内服させると,2時間以内に0.5Ptg/mlとピークの血中濃度となり,4時間で半減,2日以内に消失する.大部分は肝で分解されて尿中に排出される.薬理学的には,LMSは自律神経節を刺激し,筋性,神経性に心拍出量を増加させる1)
 免疫学的にはcyclic GMPの細胞内濃度を上昇させることによってT細胞を活性化させ,T細胞の活性化を通して抗体産生をも増強する.免疫能の正常な健康人や癌患者に投与したのではほとんど無効であり,免疫賦活剤というよりは免疫正常化剤(normalizer)といった性格を有している.RESや大食細胞の機能を高めることも知られている1〜3).Hodgkin病患者の免疫能は著明に低下していることで周知であるが,LMSをin vivo,in vitroに投与すると,リンパ球.(T細胞のsubset)の表面に付いている免疫阻止物質apoferritinが除去され,正常の免疫能を回復してくるという4).なお,急性毒性LD50は表のごとくである.毒性は低く,人体常用量は2〜3mg/kgと思われる1,3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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