文献詳細
今月の主題 癌と免疫
その他の癌免疫療法
文献概要
はじめに
Lawrenceは1955年,ヒトにおいてPPDおよびstreptococal M substanceに遅延型皮膚反応陽性を示すものの末梢白血球より低分子量の物質を抽出し,これをそれらの抗原に対して遅延型皮膚反応陰性の者に投与することにより,この陰性者の遅延型皮膚反応が陽性化する事実を報告した(図1).彼はこの末梢白血球,主としてリンパ球中に存在する12,000ダールトン以下の低分子量の,透析性で抗原性のない物質を移入因子(Transfer Factor,以下TFと略)と呼んだ1).
その後の検討でTFは細胞性免疫能のみに影響を及ぼすことが明らかにされ,またその活性物質はPolypeptide-polynucleotide complexではないかと考えられている2).1960年代後半より原発性細胞性免疫不全症や慢性感染症に合併する免疫不全症,さらにWiskott Aldrich症候群やサルコイドーシスなどの免疫不全を合併する疾患に対して臨床応用が試みられ,臨床的に効果が認められ,TFの臨床応用に対する期待が急速に高まった.
Lawrenceは1955年,ヒトにおいてPPDおよびstreptococal M substanceに遅延型皮膚反応陽性を示すものの末梢白血球より低分子量の物質を抽出し,これをそれらの抗原に対して遅延型皮膚反応陰性の者に投与することにより,この陰性者の遅延型皮膚反応が陽性化する事実を報告した(図1).彼はこの末梢白血球,主としてリンパ球中に存在する12,000ダールトン以下の低分子量の,透析性で抗原性のない物質を移入因子(Transfer Factor,以下TFと略)と呼んだ1).
その後の検討でTFは細胞性免疫能のみに影響を及ぼすことが明らかにされ,またその活性物質はPolypeptide-polynucleotide complexではないかと考えられている2).1960年代後半より原発性細胞性免疫不全症や慢性感染症に合併する免疫不全症,さらにWiskott Aldrich症候群やサルコイドーシスなどの免疫不全を合併する疾患に対して臨床応用が試みられ,臨床的に効果が認められ,TFの臨床応用に対する期待が急速に高まった.
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