icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina16巻8号

1979年08月発行

文献概要

今月の主題 腸疾患の臨床 腸疾患の臨床

小腸—鑑別診断のプロセス

著者: 川井啓市1 多田正大2

所属機関: 1京府医大公衆衛生 2京都第一赤十字病院第3内科

ページ範囲:P.1138 - P.1142

文献購入ページに移動
はじめに
 小腸は栄養素の消化吸収の場であり,従来から消化吸収機序の解明のための種々の研究がなされてきている.本誌でも昨年5月号(vol. 15 no. 5)において「消化.吸収の基礎と臨床」のテーマが取りあげられ,最近の興味ある知見が紹介されたことは記憶に新しいが,本稿では小腸疾患に対する形態的アプローチのあり方をめぐる最近の2,3の話題について概説してみたい.
 ところで,小腸疾患の頻度は食道や胃,大腸疾患の頻度と比較して著しく低いことはいうまでもなく,他の消化管や肝臓,膵の華々しい研究に比べ,小腸に対する研究は症例の数のうえからも地味なものであったことは否定できない.また,小腸は口からも肛門からも距離があり,しかも腹腔内を上下,左右に迂回して腸管が重なりあうため,病変の診断法がむずかしいことも,小腸疾患に対する形態的アプローチの遅れの原因となっている.しかし最近では,胃や大腸の完成されたX線・内視鏡検査法の手技を小腸疾患の診断のために導入するとともに,小腸の解剖学的特殊性をふまえた独自の検査法も工夫されてきており,徐々にではあるが,小腸疾患の形態診断法の進歩がみられてきている.これらの診断法をめぐる詳細な紹介は各論に譲るとして,本稿では小腸疾患の診断の組み立て方を中心に概説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?