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今月の主題 腸疾患の臨床 小腸潰瘍性病変
糞線虫症と腸アニサキス症
著者: 政信太郎1 尾辻義人1
所属機関: 1鹿児島大第2内科
ページ範囲:P.1168 - P.1171
文献購入ページに移動糞線虫症は熱帯,亜熱帯に広くみられる寄生虫疾患である.本邦においては沖縄県,鹿児島県が本症の浸淫地となっている.これらの浸淫地では,本症の診断はさほどむずかしくないが,最近これ以外の地方における患者の報告例も散見されるようになっており,ともすれば見逃されることも十分考えられる.本稿では本症の診断の要点について述べる.
症状 糞線虫はFilaria型幼虫が経皮的に感染し,経静脈的あるいは経リンパ管的に肺に達し,肺から咽頭を経て消化管に入り,小腸で成虫になる.成虫は小腸壁内で産卵し,卵は粘膜内で発育しRhabditis型幼虫になる.この多くは腸管内脱出し,糞便とともに排泄される,中には排泄されず,腸管内でFilaria型幼虫に変わり,自家感染の形をとるものもある,この自家感染のため,重症糞線虫症となり死亡する例も少なくない.
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