icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina16巻9号

1979年09月発行

文献概要

今月の主題 内科医に必要な精神科の知識 よく遭遇する症候

体臭

著者: 宮本忠雄1 吉野啓子1

所属機関: 1自治医大精神医学

ページ範囲:P.1326 - P.1327

文献購入ページに移動
体臭を訴えてくる患者たち
 体臭を主訴として各科を受診する人は少なくない.たとえば,腋臭,便臭,口臭,性器臭を訴えて,皮膚科,内科,泌尿器科,産婦人科,歯科を訪れる症例などが多いが,ふつうは客観的にも臭いが認められ,それに相当する身体的原因も発見される.しかし,なかには身体的異常がつかめぬばかりでなく,実際の臭いさえまったく,あるいはほとんど感じられないのに,「自分の体からいやな臭いが出ている」と固く思いこみ,徹底的な診察や検査を希望してくる場合もある.患者は若い人が多く,いずれも思いつめたような訴え方をする.よく聞いてみると,そういう臭いは「変な,嫌な,不快な」もので,周囲の状況によってその強さが変化する.たとえば自分の家や,全然知らない人ばかりのときにはあまり臭わないのに,学校や職場など自分と同等の仲間のいるところで一番強く臭い,いたたまれないというふうに訴える.また,ときには「自分の体が臭っているのは確かだが,どこがどう臭うのかはよくわからない」などということもある.
 このような症例は日本でもヨーロッパでも1960年頃から注目をひき始め,一般には神経症の領域で扱われているが,うつ病や分裂病にもまったくあらわれないわけではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら