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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻9号

1979年09月発行

文献概要

今月の主題 内科医に必要な精神科の知識 対策と治療

アルコール依存の治療

著者: 小片基1

所属機関: 1北海道立精神衛生センター研究調査部

ページ範囲:P.1366 - P.1368

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医療の対象となる飲酒者
 WHOによって提唱された薬物依存概念は,精神依存,身体依存,耐性の3者によって構成され,現在次の8型に区分されている.すなわち,モルヒネ型,バルビッレートおよびアルコール型,コカイン型,アンフェタミン型,カート型,幻覚発現物質型,および有機溶媒型である.アルコール依存の用語はWHOの薬物依存概念に基づいている.従来,曖昧とされてきたアルコール中毒の慨念を薬物依存概念で規定しようとするのが最近の動向である.アメリカではNCA(National Council on Alcoholism)診断基準を提示し,精神依存,身体依存,耐性を反映する諸徴候を具体的に規定した.WHOは包括的概念としてアルコール関連障害(alcohol-related disabilities)をかかげ,医療の対象となる障害はアルコール依存症状群(alcohol dependence syndrome)を中核とするという見解を示した(1977).アルコール依存を規定する場合,獲得耐性の直接表現としての基準飲酒量を規定すること,および精神依存の直接表現としての社会的障害を基準化することは,いずれも疑問点が多いという見解が強い.本邦では,最近,アルコール依存徴候を表1(身体依存的側面)および表2(精神依存的側面)に示したように規定しようとする動向にある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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