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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻9号

1979年09月発行

紫煙考

タバコと心臓病

著者: 林明徳1

所属機関: 1自治医大臨床病理

ページ範囲:P.1440 - P.1441

文献概要

はじめに
 古来,世界の宗教といわれるものでは,いわゆる悪い習慣を強く戒めているものが多い.10戒や5戒の中に禁煙の項が見あたらないのは,「物怪の幸い」か.喫煙風習の嚆矢となるのは当然のことながらコロンブスの新大陸発見(1492)で,当時の現住民の習慣であった喫煙がヨーロッパに伝わり,これがさらに全世界に伝播したわけで,予言者や大哲が出現した時代からみると,よほど後世になってからの習慣であったために11戒や6戒にならなかったのではあるまいか,treponema pollidumの伝播とほぼ同経路をたどって世界的になったところなど,はなはだ人間的というか,むしろ悪魔的な印象を与えている.本邦へは天文12年(1584)にスペインより葉タバコの輸入がなされた由であるから,喫煙者はそれよりやや以前から存在していたことになり,時まさに戦国の安土桃山時代で,貧困と富裕,生と死が裏腹に混在していた代表的な時代であり,おそらく喫茶(茶道)と喫煙の流行は爆発的に拡がったものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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