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文献概要
臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント III.消化管疾患
食道癌 VS アカラシア
著者: 遠藤光夫1
所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター・外科
ページ範囲:P.1890 - P.1891
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これには2つの問題が含まれている.1つは,下部食道噴門癌とアカラシアで,臨床症状や食道造影所見が類似することで,ほかの1つはアカラシア経過中に合併する食道癌の診断である.アカラシアの愁訴は嚥下障害を主体とし,たとえ食道癌が合併しても,はじめは症状に差がなく,拡張した食道では,嚥下障害の増強はみられないことが多く,発見時,手遅れにしていることが多い.アカラシアへの癌の併発の頻度は高く,文献上0.3〜20%とされ,筆者らも113例中8例(7.1%)に癌の併発をみた.自験例では,癌はすべて中部食道にみられたが,この傾向は文献上も同じである.
これには2つの問題が含まれている.1つは,下部食道噴門癌とアカラシアで,臨床症状や食道造影所見が類似することで,ほかの1つはアカラシア経過中に合併する食道癌の診断である.アカラシアの愁訴は嚥下障害を主体とし,たとえ食道癌が合併しても,はじめは症状に差がなく,拡張した食道では,嚥下障害の増強はみられないことが多く,発見時,手遅れにしていることが多い.アカラシアへの癌の併発の頻度は高く,文献上0.3〜20%とされ,筆者らも113例中8例(7.1%)に癌の併発をみた.自験例では,癌はすべて中部食道にみられたが,この傾向は文献上も同じである.
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