icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina17巻12号

1980年11月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント III.消化管疾患

薬剤性大腸炎 VS 感染性大腸炎

著者: 竹本忠良1 福本陽平2

所属機関: 1山口大学医学部・第1内科 2山口大学医学部・内科

ページ範囲:P.1902 - P.1903

文献購入ページに移動
薬剤性大腸炎の問題点
 薬剤性大腸炎は最近注目されてきた疾患で,現在のところ一般に通用する診断基準はない.一応,①薬剤投与後に大腸炎が発生し,②そのほかの大腸炎症性疾患が存在しないものを,その基準としている.原因薬剤としては抗生物質が最も多く,Ampicillin,Amoxicillin,CiclacillinなどのPenicillin類,Lyncomycin,Clindamycin,Chloramphenicol,Cephalexin,Tetracyclineのほか,Aureomycin,Terramycin,Streptomycin,Duracillin' Kanamycin,Erythromycin,Neomycin,Hetacillin,Vancomycin,Piromidic Acidなど数多くの薬剤が報告されている.
 主症状は下痢,血便,腹痛および発熱で,一般に全身状態は良好である.投与開始より症状発現までの期間は7〜14日以内とされている.投薬を中止し対症療法を行うことによって治癒することが多いが,偽膜を形成する症例では,時に重篤な大腸炎の症状を示すものがある.大腸粘膜は著明な発赤,出血,びらん,浮腫を主徴とし偽膜を形成しない例と,多数の黄白色,小斑状の偽膜を形成する例がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?