icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina17巻12号

1980年11月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント V.内分泌疾患

クッシング病 VS クッシング症候群

著者: 清水直容1

所属機関: 1帝京大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.1954 - P.1955

文献購入ページに移動
なぜ鑑別が問題となるか
 クッシング病はクッシング症候群(広義)のなかの1つの病態であるが,本稿では下垂体性ACTH過剰を原因とするものをクッシング病(以下「ク」病),それ以外(副腎腫瘍,異所性ACTH産生腫瘍および原発性副腎過形成)のうち副腎腫瘍によるもののみをクッシング症候群(以下「ク」症候群)として述べる.異所性ACTH産生腫瘍およびとくに原発性副腎過形成は珍しいので簡潔にするために省略するが,異所性ACTH産生腫瘍が存在する可能性は常に念頭におかなければならない.
 「ク」病と「ク」症候群を鑑別する必要性は,治療およびその後の経過が異なるからである.「ク」病では原因となる病変が視床下部・下垂体にあるので,治療の標的は第一次的に下垂体に向けられるのに対し,「ク」症候群では副腎腫瘍の摘出が手術可能なかぎり唯一の選択的な治療であり,副腎腫瘍(多くは腺腫)が摘出され,その対側副腎(萎縮している)の機能に十分注意して1〜2年の経過をみれば,「ク」症候群は完全に治癒する疾患である.「ク」病の治療については近年経蝶骨洞下垂体腺腫摘出術(Hardy法)により,下垂体腺腫の摘出が多く行われるが,その長期予後の成績は検討中であり,下垂体照射,薬物療法,副腎に対する手術あるいは薬物療法もなお症例によって有用である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら