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臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント V.内分泌疾患
原発性アルドステロン症 VS 偽性アルドステロン症(Licoriceによる)
著者: 竹田亮祐1
所属機関: 1金沢大学医学部・第2内科
ページ範囲:P.1970 - P.1971
文献購入ページに移動原発性アルドステロン症は,副腎皮質にアルドステロンを自律的に過剰分泌する腺腫(aldosteronoma)が生じ,低カリウム性アルカロージスを呈する二次性高血圧症で,四肢麻痺,筋力低下,夜間多尿などの症状を特徴とする.したがって①アルドステロン分泌過剰の証拠,すなわち血漿および尿中アルドステロン増加,その結果生じているNa貯留,②循環血漿量増大によるレニン分泌抑制および③グルココルチコイド系が正常であること,の3項目が本症の診断基準とされている.
しかし,臨床症状や検査所見が多くの点で類似しながら,血・尿中アルドステロンが著しく低下もしくはほとんど測定にかからない医原性疾患として偽性アルドステロン症pseudoaldosteronismがある.この病態は,それ自身がミネラルコルチコイド作用をもっglycyrrhizin(厳密にはそのアグルコンであるglycyrrhezinic acid)を含む製剤,もしくは漢方薬(甘草含有)の多量・長期服用により,循環血漿量が増大し,レニン分泌抑制を伴う高血圧,低K血症が起こる点で原発性アルドステロンの臨床像ときわめて類似しているが,内因性アルドステロン分泌は著しく低下している点が異なる.近年,glycyrrhezinic acidは特異的に腎のミネラルコルチコイド受容体に結合することが明らかにされている.
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