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臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント IX.血液疾患
特発性血小板減少性紫斑病 VS その他の血小板減少症
著者: 山中學1
所属機関: 1東京大学医学部付属病院・中央検査部
ページ範囲:P.2056 - P.2057
文献購入ページに移動出血症状を主症状あるいは初発症状として,その原因が血小板減少による疾患は,そう多いものではない.血小板減少による出血は,紫斑を特徴とする.その代表的な疾患は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)である.他方,急性白血病,再生不良性貧血は,およそ1/3の症例で,最初に出血に気づいている,最もしばしばみられるのは,皮膚の紫斑,とくに点状出血で,ついで歯肉出血,口腔粘膜出血が多く,女性では性器出血がこれについでみられる.これらの初発症状としての出血はITPのそれと類似する.その他,急性前骨髄球性白血病(APL)のびまん性血管内凝固症候群(DIC)がある.きわめて激烈な出血性素因を示し,速やかに死の転帰をとる.このほか稀に先天性血小板減少症Fanconi症候群がある.さらに遺伝的疾患に,男児のみに発症する血小板減少と,湿疹,感染症を主徴とするWiscott-Aldrich症候群,多核白血球のDohle小体と大型奇形血小板を特徴とするMay-Hegglin異常,巨大血小板が出現するBemard-Soulier症候群などがある.後者は血小板の量的異常より質的異常が注目されている.このほか薬剤による血小板減少症がある.なおITPとの鑑別に苦労するものにSLEがある.
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