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文献詳細

雑誌文献

medicina17巻13号

1980年12月発行

文献概要

今月の主題 内科医に必要な脳神経外科の知識 脳血管障害

破裂脳動脈瘤の手術—意図的晩期手術

著者: 秦才賢1 佐藤潔1 石井昌三1

所属機関: 1順天堂大学医学部・脳神経外科

ページ範囲:P.2220 - P.2225

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はじめに
 破裂脳動脈瘤治療の最大の目的は,破裂脳動脈瘤の再出血を防止し,患者を社会復帰せしめることにある.現在のところ脳動脈瘤の再出血の防止には,頭蓋内直達手術によって動脈瘤頸部(neck)をクリップその他で閉塞する以外に確実な方法はない.
 破裂脳動脈瘤患者の予後にきわめて重大な関わりを持つ因子として,待期期間中に発生する再出血と脳血管攣縮がある.理論的に考えれば脳動脈瘤破裂による脳損傷や,脳血管攣縮によって惹起される脳浮腫,脳梗塞が一度落ちついた時期,すなわち出血発生後1ないし2週間待期した後に手術を施行すれば,手術時における安全性も確保されるであろうことは容易に理解できる.事実microsurgical techniqueの普及した昨今,内外いずれの報告においても手術成績のみについてみると,晩期手術の成績のほうが優れていることがわかる.これに反し,早期手術を主張する入の論拠は,待期期間中の再出血の予防が確実に行いえないということ,さらに出血発作後速やかに破裂脳動脈瘤を直達手術によって処理し,さらに脳血管攣縮誘発物質が含まれていると思われる血性髄液や血腫を洗浄あるいは排除することにより,脳血管攣縮を予防ないし軽減,脳血管攣縮によって失われる症例を助けうるということである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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