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文献詳細

雑誌文献

medicina17巻13号

1980年12月発行

文献概要

今月の主題 内科医に必要な脳神経外科の知識 脳腫瘍

各種脳腫瘍の頻度

著者: 野村和弘1

所属機関: 1国立がんセンター病院・脳神経外科

ページ範囲:P.2248 - P.2250

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種類と頻度
 脳腫瘍の頻度は,全剖検例に対し1〜3%である.KurlandおよびZulchの推計では10万人に対し4.2〜5.4人の脳腫瘍患者が発生しているとされている.1978年に報告された脳腫瘍全国集計調査(1969,70,74,75年分集計)によれば,原発性脳腫瘍6,204例,転移性脳腫瘍817例,合計7,021例である.男女比は,52.0%,47.0%と男性にやや多い.年齢分布をみると,15歳未満の幼小児例が1,118例(16%),15〜59歳5,122例(73%),60歳以上781例(11%)である.脳腫瘍の種類は30種以上に及ぶ.欧米と日本での頻度を表1に記しその差を概観できるようにした.脳腫瘍のうち最も頻度の高いものは,神経膠腫であり,欧米の統計では脳腫瘍の40〜45%を占める.日本では全国統計で31.2%,東大脳神経外科の統計では29.2%となって,欧米に比べると10〜15%少なく,著しい差を示しているのが特徴である.髄膜腫は第2位の発生頻度を占め,日本で12〜15%,欧米で13〜19%と欧米でわずかに多い.神経鞘腫は,日本で7〜9%,欧米で5〜9%で大差ない.下垂体腺腫は,米国Cushingの統計が著しく高値を示すが,これは彼がこの方面の学問の大成者であり,施設差とされる.平均して欧米で8〜9%,日本で10%前後で,日本でやや多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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