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文献詳細

雑誌文献

medicina17巻13号

1980年12月発行

文献概要

今月の主題 内科医に必要な脳神経外科の知識 脊髄・脊椎疾患

頸部脊椎症

著者: 角家暁1

所属機関: 1金沢医科大学・脳神経外科

ページ範囲:P.2274 - P.2276

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本態と発現機序
 頸部脊椎症はcervical spondylosisの邦訳で,頸椎椎間板の変性と,これに続発する椎体辺縁の骨棘形成を主とする頸椎の退行変性にもとづく病変を指しており,最も動きの大きい第5頸椎を中心としてその上下の椎間に多くみられる.ただこのような変化は加齢に伴って普通に起こるもので,50歳以上の人々のX線写真では50〜80%に認められる.したがって,治療の対象になるのは,上述のごとき退行変性の結果,頸椎の脊柱管(頸椎管)および椎間孔内の頸髄,神経根に影響が及び,それぞれの症状が発現した場合に限られる.
 それではどのような場合に症状が発現するのかを図示したのが図1のA,Bである.図1Aはこの疾患の本態を示しており,脱出または膨隆した変性椎間板,あるいは椎体縁の骨棘で頸髄,神経根が圧迫されている,しかし実際の症状発現,とくに脊髄症状に重要な役割を果たしているのは頸椎の運動に伴う頸髄の間歇的な損傷である.図1Bにみられるごとく,屈曲時頸椎管の前壁は1〜2cm伸展し,頸髄もこの前壁にそって引き伸ばされ,骨棘で圧迫される.一方,伸展時には頸髄は短縮されて太くなるが,頸椎管の前壁は伸展運動に伴う椎体のずれと椎間板の膨隆,後壁には黄靱帯のたわみが生じ,頸髄は両者の間でしめつけられる形となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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