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文献詳細

雑誌文献

medicina17巻3号

1980年03月発行

今月の主題 肺の炎症性疾患—最近の動向

反応性肺炎

放射線性肺炎

著者: 吉田稔1 関雅彦1

所属機関: 1福岡大学医学部・内科

ページ範囲:P.368 - P.370

文献概要

はじめに
 肺や胸郭内諸臓器の悪性腫瘍,たとえば悪性リンパ腫,食道癌,縦隔腫瘍等に対して,60Co,ベータートロン,リニアックなど高エネルギー放射線による放射線療法が今日しばしば行われている.それに伴い放射線照射による肺組織への反応,障害が生ずるが,これが一般に放射線性肺炎,radiation pneumonitisと呼ばれている.これについての最初の報告は1921年Grooverらによりなされたが,その後もこれに関連しての実験的,臨床的報告が多数認められる.放射線の組織への影響は,基本的にはRubin,Casarettらも指摘するごとく,放射線の組織吸収に伴い,組織内に有機過酸化物を生ずること,さらに遺伝物質であるDNAに影響を及ぼすこと,蛋白質や多糖類等の非遺伝物質への放射線の障害により,細胞膜の透過性の亢進をもたらすことなどから,放射線照射が肺の形態的変化,つまり線維化や機能的障害の原因となる.要するに,放射線性肺炎は腫瘍に対する放射線治療上の副作用として発症するもので,臨床的には放射線の種類,エネルギー量と共に,その影響をうける個体側の状態,年齢,胸壁の厚さなどが発症ならびにその障害程度を左右する重要な要因としてあげられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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