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Laboratory Medicine 異常値の出るメカニズム・24
コルチゾール
著者: 屋形稔1
所属機関: 1新潟大学医学部・中央検査部
ページ範囲:P.430 - P.433
文献購入ページに移動コルチゾールは副腎皮質から分泌され,ブドウ糖,蛋白代謝作用の強いいわゆるグルココルチコイドの代表的なステロイドである.このほかにコルチゾン,コルチコステロン(電解質作用の方が強い)もこの種に属し,11-OHCSや17-OHCSとして測定されるものの主たるものである.コルチゾールはACTHの影響下で皮質束状層よりコレステロールから合成され,ラットの実験でコレステロールのコルチゾールへの変換速度は副腎細胞に作用しうるACTHの量に正比例するといわれる.
このACTHのステロイド合成機序については明らかでない点も多いが,副腎におけるcyclic(c)-AMPの関与がもっとも有力である.つまりACTHが副腎に到達してから1分以内にステロイド分泌増加がみられるが,その直前にc-AMPの急増がみられる.副腎でのc-AMPはプロテインキナーゼのregulatory subunitに結合することでプロテインキナーゼを活性化させ,次いで蛋白の燐酸化を促進させることでコレステロール側鎖を切断するという説である.ACTHはc-AMPを介してコレステロールからのステロイド合成を刺激すると思われる.
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