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文献詳細

雑誌文献

medicina17巻3号

1980年03月発行

文献概要

新しい栄養学の知識

蛋白質の特異動的作用

著者: 林伸一1

所属機関: 1慈恵医科大学・栄養学

ページ範囲:P.442 - P.444

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はじめに
 食事をすると,まもなく身体が暖かくなり,夏だと汗が出てきたりすることは,誰でも体験して知っている.このような,食事によるエネルギー代謝(熱産生)の亢進は,今世紀の初め頃,ドイツの生理学者Max Rubnerによって,特異動的作用(specific dynamic action)と名づけられた.しかし,そのずっと以前に,Lavoisierが,すでにこの現象を見だしている.燃焼が酸化反応であることを発見し,呼吸と燃焼が本質的に同じ現象であることを洞察したLavoisierは化学の父とも栄養学の父とも呼ばれるが,彼が1785年に炭酸ガスの発見者であるBlackに宛てて出した手紙の中で,人間の酸素消費量は安静状態で最も少なく,寒冷,食事,および運動によって増加することを報告しているのである.つまり,すでに彼はエネルギー代謝の基本的要因を定量的に把握していたわけで,ただ驚きのほかはない.
 このように古くから知られ,また多くの研究がなされたにもかかわらず,特異動的作用の原因は,まだ解明されたとはいえない.また,概念の混乱もしばしば見受けられる.ここでは,最近の知見をふまえ,特異動的作用の本態と機序について,私の考えをまとめてみたい.不備な点も多くあると思うが,大方のご批判をいただければ幸せである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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