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文献詳細

雑誌文献

medicina17巻4号

1980年04月発行

文献概要

紫煙考

タバコの排気ガス

著者: 外山敏夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・衛生学

ページ範囲:P.640 - P.642

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タバコの煙は排気ガスである
 題を「タバコの排気ガス」としたのにはわけがある,下の表の「自動車の排気とタバコの煙の成分比較表」を見ていただきたい,これは外国の文献1)からとったものであるが,見てわかることは,両者が実によく似ていることで,タバコの煙を排気といっても大差のないことが理解されるであろう.この中で,生体に最も有毒なCOは両者ともにほとんど同じであり,公害でやかましくいわれるNOxは,タバコで意外に高濃度であることに驚かされる.眼を刺激するアクロレインはタバコだけであるが,フォルムアルデヒドは両者同じようなものである.もっとも自動車のほうは,炭化水素やNOxが大気中で日光に照射されて,いわゆる光化学スモッグで二次的にアクロレインやPANなどという眼を刺激するものに変わることにはなる.
 タバコの煙の成分は,この表だけではなく,今まで分析されたものは約4,000種にのぼるという2).「イタイイタイ病」で知られていた重金属のカドミウムなどはこの表にはないが,灰皿に置きっぱなしになっている煙からはかなりの量が出される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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