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文献概要
今月の主題 甲状腺疾患診療の進歩 Graves病
外科的治療
著者: 牧内正夫1
所属機関: 1信州大学医学部・第2外科
ページ範囲:P.716 - P.717
文献購入ページに移動バセドウ病(Graves病)に対する外科的治療は,すでに19世紀の終わり頃から行われている.当初は未処置のまま手術を行ったため,術後クリーゼが発生して死亡する例も稀ではなかった.今日バセドウ病の手術はまったく安全に行うことができるが,バセドウ病の外科に多大の貢献をした人にPlummer, H. S. がいる.彼はバセドウ病の術後に発生する甲状腺クリーゼの予防法を研究し,大量のヨードを手術前処置として与えるとクリーゼが発生しないことを見出した.これによりバセドウ病の手術成績が著しく向上した.今日では術前に抗甲状腺剤を用いており,その安全性は一層高められ,術後クリーゼはまったく見られなくなっている.
外科的治療は,他の治療法に比べ治癒率が高く,筆者らの成績では術後5年目で88.5%の治癒率が得られており,術後再発例,機能低下症が少ない.以下,バセドウ病の外科的治療の適応と治療の実際について解説する.
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