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文献詳細

雑誌文献

medicina17巻5号

1980年05月発行

文献概要

今月の主題 甲状腺疾患診療の進歩 Graves病

眼球突出症との関係

著者: 山本通子1

所属機関: 1東京大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.720 - P.722

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はじめに
 眼球突出は,甲状腺腫,頻脈とともにMerseburgの3徴候として,古典的なGraves病の診断に不可欠の所見であった.しかし日常診療の経験では,教科書に出てくるような典型的な眼球突出症を伴うGraves病患者の割合は必ずしも多くない.一方,臨床的に甲状腺機能正常な者や,稀には甲状腺機能低下症患者でGraves病と同様の眼症状を呈することがあり,それぞれeuthyroid Graves病,hypothyroid Graves病として報告されている.また,甲状腺の組織学的所見が典型的な橋本病患者に眼球突出症を認める場合もある.これらの臨床的事実は,甲状腺疾患としてのGraves病(Graves' thyroid disease)とGraves病の眼症(Graves' ophthalmopathy)とを分けて,図1)のような関係としてとらえると理解しやすい.これについてはeuthyroid Graves病の項で詳述する.
 なお,眼球突出症という言葉は,眼球突出(突眼)という所見と同意語ではなく,Graves病に伴う眼症状全般を示す言葉として慣用されている.本稿ではこの言葉をさらに限定してGraves' ophthalmopathyと同じ意味で用いた.したがって,言葉としては矛盾するが,眼球突出を伴わない眼球突出症の例がある2)ことをあらかじめお断りしておく.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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