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文献概要
今月の主題 アレルギーの現況 臓器別の症状と診断のコツ
眼
著者: 三村康男1 湯浅武之助2
所属機関: 1大阪大学医学部・眼科 2大阪府立羽曳野病院・眼科
ページ範囲:P.1045 - P.1048
文献購入ページに移動アレルギー反応の症状は,各臓器のもつ解剖学的な特徴と,その臓器のもつ機能によって規定される.眼組織については,精巧な視機能を遂行する眼球と,眼球の保護および視機能遂行の補助を行う付属器に分けて考えると非常に理解しやすい.とくに外界に露出しているために種々の病変を生じやすい前眼部には付属器として眼瞼,結膜,涙器,眼筋がある.眼瞼のおもな作用は,眼球の機械的保護であるが,組織学的には皮膚に属するので,眼瞼に生ずるアレルギー病変は発症機序よりみて皮膚アレルギーに属するものである.しかも,眼瞼皮下組織は疏であるために浮腫傾向が強く,代表的なものとして,Quink浮腫をあげることができる.
結膜は,結膜嚢内に侵入した病原菌,異物およびその他の有害な刺激の眼球内への波及の防止を涙液の助けをかりて行っている.上皮下にはリンパ濾胞がよく発達しているが,無菌条件での飼育動物ではリンパ濾胞形成不全がみられるので,結膜下リンパ濾胞は結膜嚢内の細菌侵入に対処して発達したものであって,前眼部のアレルギー性病変の好発部位となっている.
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