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文献詳細

雑誌文献

medicina18巻1号

1981年01月発行

文献概要

今月の主題 糖尿病診療の現況 治療

人工膵臓

著者: 菊池方利1

所属機関: 1東京大学医学部・第3内科

ページ範囲:P.58 - P.61

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背景
 人工膵臓が人々の脳裏に現実の型をとって現われはじめたのは,従来の皮下分割注射によるインスリン治療が糖尿病患者の糠代謝を完全に正常化するには至らないこと,および,その結果,罹病期間が長くなり,血糖値が高くなるにしたがって,合併症の発生および進展の増加することが認識されるようになってからである.
 しかし人工膵臓という発想はかなり以前からあった.Claude Bernardが,すべての生体はいかにかけ離れた存在であろうと,その内部環境を一定に保つことを本来の目的とする,と考えたことにはじまるといってもよいであろう.Cannonがこの内部環境の恒常性維持にホメオスターシスという名称を与えた.そして近代になってこの思想はWienerらの制御情報理論となって発展した.ホメオスターシスと制御情報理論との間の関係を究明したGoodmanは血糖コントロールをその例証として選んだ.この領域が最も実験的情報を多く有していたからである.この種の装置が,まず糖尿病治療の領域で開発されたのは歴史の必然といえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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