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文献詳細

雑誌文献

medicina18巻11号

1981年11月発行

今月の主題 白血病—最新の概念と治療

白血病はどこまで治るか

著者: 川島康平1 山田一正1

所属機関: 1名古屋大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.1844 - P.1846

文献概要

 一般に急性白血病では1011〜1012個の白血病細胞が存在し,化学療法により寛解状態が得られたときには105〜106個に減少すると考えられている.それゆえ,急性白血病を治癒させるためには,白血病細胞をできる限り根絶することがきわめて重要なこととなる.1957年Skipperらは実験白血病L1210細胞による成績から,急性白血病治療のためのtotal cell kill理念を示し,これに準じた治療法によりZuelzer(1963),Brubaker(1963)らは当時では優れた臨床成績を報告した.以後,急性白血病の治療は新しい抗癌剤の臨床導入とともに,この理念のもとに貫かれてきている.1965年Burchena1らは71例の急性白血病5年以上生存例を報告し,8年生存例には再発の危険がきわめて少ない事実を認めた.この報告により,急性白血病が不治の病から治癒しうる疾患として位置づけられたことは意義深い.
 本邦でも,1964年の第1次急性白血病5年以上長期生存例の全国調査以降,継続的に調査が実施されてきた.第1次3例,第2次(1966)7例,第3次(1971)50例,第4次(1974)95例,第5次(1976)178例,そして第6次(1978)304例と,着実な成果がおさめられている.本稿では,主として急性白血病長期生存例の第7次(1980)調査成績をもとに,急性白血病の治癒の問題を考えてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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