icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina18巻12号

1981年11月発行

文献概要

臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン 膵臓

膵炎

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.2231 - P.2236

文献購入ページに移動
 急性膵炎の多くはCTの対象とはならない.これは臨床生化学的データのみで十分診断がつくことに加え,約半数ではCT上まったく所見を欠くためである.急性膵炎の典型像は膵のびまん性腫大と濃度の低下である.
 CTが偉力を発揮するのは,高度膵炎に続発する膵周囲への浸潤の拡がり,膿瘍,仮性のう胞の形成をとらえることである.膵後面には前腎筋膜(Gerota's fascia)があり,腎と境され,膵側はanterior pararenal spaceと呼ばれる.一方,前方は腹膜で網のうに囲まれ,左側方は下行結腸に隔てるものなく移行する.したがって高度の膵炎が生ずると,浸出液,出血壊死はこのスペースに充満する.逆にこの像を見れば,この部の腫瘤は膵炎に由来するものとみなしてよい.図21は腹部中央から左側に拡がる腫瘤があり,これは先に記した膵周囲の空間に相当する.この内部には種々の大きさの低濃度部があり,さらにその中に多数の小円形の高度な低濃度影が見られ,これはガスといえる.すなわち,膵炎に続発した膵膿瘍である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら