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文献詳細

雑誌文献

medicina18巻2号

1981年02月発行

文献概要

今月の主題 心不全の動向 心臓のはたらき

心筋のエネルギー産生系

著者: 香川靖雄1

所属機関: 1自治医科大学・生化学教室

ページ範囲:P.194 - P.195

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心筋代謝の特色
 心筋は骨格筋と似て横紋筋であるが,持続的に活動しているので,代謝の上では呼吸筋などとともに典型的な赤筋に属する.これに対して,正常は休止状態にあって,必要に応じて急激な運動を行う四肢筋などの白筋は心筋と著しく異なっている.生体の活動はすべてATPの加水分解のエネルギーに依存しているといっても過言ではないが,そのATPを合成する代謝経路(エネルギー産生系)として赤筋では酸化的リン酸化,白筋では解糖系が優位にある.このために心筋では表1に示すように酸化的リン酸化の場であるミトコンドリアが多く,その反応で消費する酸素を供給するためにミオグロビン含量が高い.赤筋の赤色はミオグロビンやミトコンドリア内のチトクロームのヘムに由来する.これに対して解糖系の酵素含量は低く,乳酸脱水素酵素もその一成分であるが,心筋では白筋のそれと違いH型とよばれ,乳酸をピルビン酸にかえるのに有利なもので,血清アイソザイム診断にも広く用いられる.脱水素酵素のうちでも酸化的リン酸化の成分となっているコハク酸脱水素酵素は多い.
 酸化的リン酸化は,図のようにミトコンドリア内膜で電子伝達のエネルギーをHATPaseを介してATP合成に用いる反応で,酸素を要するきわめてATP産生効率の高い過程(グルコース1分子換算ATP 38分子)である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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