icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina18巻2号

1981年02月発行

文献概要

今月の主題 心不全の動向 心不全の治療

β促進剤

著者: 上羽康之1 伊藤芳久2

所属機関: 1神戸大学医学部・第1内科 2神戸大学医学部・内科

ページ範囲:P.234 - P.235

文献購入ページに移動
 心不全発生時,交感神経活動の亢進をきたすことは,カテコールアミンの血中濃度,尿中排泄量の増大1)より明らかであり,それが心機能の賦活に有利に作用することは,交感神経作用抑制剤であるレセルピン,β遮断剤を用いた場合に,臨床像の増悪をみることより支持される2).この交感神経作用物質であるカテコールアミンの心脈管系に対する作用効果は,表1のようにα,βの2種類の受容体の刺激効果による.また効果発現の機序については,心筋細胞にあっては,細胞膜のβ受容体に作用し,adenylate cyclase活性を賦活してATPよりcyclic AMPの合成をたかめ,その結果,筋小胞体などからのCaの遊出,利用を促進するとともに,細胞膜におけるCaの透過性をたかめ収縮力の増大が得られる.
 それ故,β促進剤を用いた場合には,強力な心収縮力の増強と末梢血管の拡張が惹起されるため,心不全の治療には好適と考えられる.しかし現実には,その使用には種々の制限が存在する.表2はβ促進剤の代表的薬剤であるイソプロテレノールの,心脈管系に対する作用効果を示したものである.すなわち心収縮力の増強のほか,心拍数の増加による心筋酸素消費量の増大,心自動能の亢進による不整脈の発生は,心不全の治療には不利な点と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?