文献詳細
文献概要
今月の主題 出血とその対策 境界領域
鼻出血のプライマリ・ケア
著者: 小林武夫1 千國峰子2 高橋文夫3
所属機関: 1東京大学医学部・耳鼻咽喉科 2東京都立墨東病院・耳鼻咽喉科 3自治医科大学・耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.814 - P.816
文献購入ページに移動鼻出血は救急外来では頻度の多い疾患である.表のように大別する.一番多いものは特発性鼻出血であるが,研究が進むにつれ,少しずつ病態が解明されつつある.
特発性鼻出血のうちキーゼルバッハ部位の怒張した静脈より出血するものは,全鼻出血の約90%を占める.キーゼルバッハ部位とは鼻中隔軟骨部の前下部で,ここには血管叢が多いうえに粘膜下組織に乏しい.鼻孔から指を入れると爪で外傷をうけやすい部である.英米医学ではLittle's areaという.なお,この部は,指でいじると微細な血管が浮き出して,すぐに出血する.筆者(高橋)は擦過血管と名付けたが,怒張血管とともにこの血管は常に鼻出血の予備軍である(図1).
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