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今月の主題 ウイルス肝炎のトピックス ウイルス肝炎の臨床
A型肝炎の早期診断
著者: 飯野四郎1
所属機関: 1東京大学医学部・第1内科
ページ範囲:P.1516 - P.1517
文献購入ページに移動 1973年,FeinstoneらによりA型肝炎ウイルス(HAV)が発見され,A型肝炎診断の道が拓けた.日本では免疫電顕法での診断も行われていたが操作が煩雑であり,一般的な方法となりえなかった.また,免疫粘着血球凝集法(IAHA)によるHA抗体測定法も使用されたが,抗原として使用するHAVが十分に得られないこと,および初期血清と回復期血清で抗体価の上昇を比較するため,回復後に診断がつくという欠点があった.その後,Radioimmunoassay(RIA)によるHA抗体測定法(HAVAB-Mキット,Abbott)が導入され,これを用いて上記IAHAと同様に2点で比較する方法,2-メルカプトエタノール処理によりIgMをこわしてHA抗体価の下りをみる方法などが行われたが,種々の制約があり,A型肝炎の確実な診断法とはなりえなかった.しかし最近,IgMクラスのHA抗体をRIAにより特異的に測定する方法が開発され,ようやくA型肝炎の診断が早期に確実にできるようになってきた.ここではこれを中心に述べる.
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