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文献詳細

雑誌文献

medicina18巻9号

1981年09月発行

文献概要

今月の主題 ウイルス肝炎のトピックス ウイルス肝炎の予防

肝炎ウイルスの消毒

著者: 遠山博1

所属機関: 1東京大学医学部・輸血部

ページ範囲:P.1538 - P.1539

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 肝炎ウイルス消毒法を論ずることは至難である.それは,①その感染性失活はヒトかチンパンジーで証明されなければ真に消毒されたと断定できない.②加熱の場合は温度,時間,作用条件の組み合わせ,薬剤では濃度,時間,作用条件の組み合わせが無数にあり,その最少必要条件を確定することは培養可能,あるいは小動物で実験可能な微生物の場合と異なって至難である.③抽出精製したウイルスと異なり,自然状態ではウイルスは血漿あるいは排泄物の蛋白質などで保護されていることが多い.④肝炎ウイルスの消毒効果を論ずるといってもせいぜいB型肝炎のそれに過ぎず,その結果で他種の肝炎ウイルスに対する消毒効果を類推するに過ぎないことなどによるからである.
 肝炎ウイルス消毒法を真に確立するには,大量のチンパンジーを必要とするが,それは非常に高価であり,またそのスタッフや施設を獲得するにも莫大な経費がかかり,またチンパンジーは現在シェラレオネを除く他のアフリカ諸国は輸出を禁じているので入手・使用が困難である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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